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2024年クレラー・ミュラー美術館の最新情報

クレラー・ミュラー美術館で自然を満喫

オランダでクレラー・ミュラー美術館ほど、自然を身近に感じることができる美術館は他にありません。美術館を創設した、ヘレーネ・クレラー=ミュラー夫人は、騒々しい都会よりも静かな自然の中でこそ集中して芸術を楽しめると信じていました。広大な国立公園の真ん中にある美術館では、ゴッホの名作やヨーロッパ最大の彫刻庭園などに出会うことができます。自然の中の芸術、それが、クレラー・ミュラー美術館の最大の魅力なのです。

特別展:木々のための森

地球温暖化は多層的で複雑な問題を抱えていて、簡単な答えはありません。さまざまな意見、解決策、議論の迷路の中で、我々は、しばしば、木を見て森を見ていないことがあります。どこから始めたら良いのか?どのように我々の生活を「責任ある行動」に変容させていけば良いのか?どのようにすれば聞こえるのか?我々は一体、誰と話しているのか?「木々のための森」では、自然に囲まれたクレラー・ミュラー美術館の環境の中で、これらの疑問を提起し自身が果たす役割について考証します。

Andy Holden, The Opposite of Time (A Social History of Egg Collecting) (still), 2017

特別展「木々のための森」では4人のアーティストが人間と自然の関わりを描いた作品を展示します。アンディ・ホルデンは鳥を観察、エイヤ・リサ・アティラは自然との会話について、ジュリアン・シャリエルはアートにおけるランドスケープについて、そして、ハンス・オプデベークは気候変動について表現しています。この特別展の一部として、彫刻庭園では特別展用の順路やイベントも企画しています。「木々のための森」展は多層的でさまざまな問題提起を行い、新たな考え方や発想を持ち帰ることができる特別展です。

この特別展は、2024年3月23日から9月15日までの開催で、追加料金は不要です。

ヴィンセント・ファン・ゴッホ

1938年の開館以来、クレラー・ミュラー美術館のコレクションの中心を占めてきたのがゴッホの作品です。近年の常設展では、ゴッホのオランダ時代からフランス時代までの油彩や素描画作品を展示してきました。2024年には、長い間展示されていなかったゴッホの名作が常設展に戻ってきます。

Vincent van Gogh, Olive Grove with two Olive Pickers, 1889

「オリーブの木は北ヨーロッパの柳やポプラの木のようだ」とゴッホは弟のテオ宛の手紙に書いています。「自然光の効果、空、オリープの木など描きたいモチーフは果てしない」反対に、エミール・ベルナールやポール・ゴーギャンらの画家たちは、この時期、高度に洋式化された、宗教をテーマにした作品などを描いています。ゴッホは、これらの作品は「何も見るべきもの」はなく、見ると「気が狂いそうになる」とも書いています。ゴッホによると、厳選された色彩を使って描かれた、日々のモチーフにこそ深い洞察を得ることができると考えていたのです。

「ふたりのオリーブ摘みがいるオリープ畑」はゴッホが、「よく晴れた寒い、しかし、美しい日」にオリーブ畑を散策中に描いた作品です。この作品では、オレンジと黄色が混じった緑色の空が、大雑把に描かれています。木々の上の線や人物の周りには赤く塗られた下絵が残っています。ゴッホは、後でその赤い絵の具を、緑と黄色の筆を重ねたのです。

2024年のゴッホギャラリーの常設展示では、「夜のカフェテラス」、「馬鈴薯を食べる人々」、「タネになった4本のひまわり」を含む、40から45点の油彩画を見ることができます。

彫刻庭園

クレラー・ミュラー美術館にはヨーロッパ最大の彫刻庭園があります。この広大な屋外展示は現代彫刻芸術の宝庫です。彫刻庭園は通年のオープンで、四季折々の美しさがあります。彫刻を鑑賞するための平穏な環境と美しい自然を楽しむことができます。

160の現代彫刻

この彫刻庭園には、マイオール、デュブッフェ、マルタ・パン、ピエール・ハイゲなどの著名なアーティストの作品160点が展示されています。彫刻庭園にはアルド・ファン・アイクとヘリット・リートフェルトによって1960年代に建てられた2つのパビリオンがあります。彫刻庭園はあらゆる年代の方が楽しめる庭園です。

Visitors with View van R.W. van de Wint in the Sculpture garden, photo: Valerie Spanjer